大切なお墓の手入れを定期的に行うブログ：15-10-2017
昨年の夏のこと…
自宅近くの大きな公園で、
小学校六年になる双子のむすこたちが、
仲間たちとサッカーに興じていた。
やがて、双子の下の子から
「お父さん、レフェリーやって！」と声がかかり、
木陰のベンチにいたわしは「おう」と重いコシを上げた。
その時、わしは何の脈絡もなく、
あの日の出来事を、突然、思い出した。
四十年近くも前の夏の日…
むすこと同年齢だったわしは、自転車で外へ出た。
いつもの遊び場とは違う、繁華街へ…
途中で仲間二人が合流し、
目的地では、さらに仲間が増えた。
そこへ、お父さんがやってきた。
行き先をママに聞き、列車で二駅分を先回りしたのだという。
そして、お父さんはみんなに言った。
「みんなあ、きょうはどうする？
おじさんと一緒やったら、ゲームセンターも行けるで。
それか、冷たいもんでも飲むか？」
ところが、わしは次の瞬間、
「お父ちゃん、帰ってや。きょうは僕らだけで遊ぶから帰って」
と言ったのである。
しばらく、問答が続いた。
戸惑う仲間たちをよそに、わしは「帰って」と言い続け、
やがてお父さんは帰った。
夕方、自宅に戻ると、ママに呼ばれた。
お父さんの姿はない。
「あんた、何を言うたの？ お父ちゃん、泣きながら帰ってきたんやで…
あんなに悲しそうなお父ちゃんは見たことない」
反抗期の始まりだったのかもしれない。
自分たちだけの世界に大人が来ることがいやだったのかもしれない。
わしは、あの夏の日のお父さんと同じ年齢になった。
サッカーに興じる子供たちを前に、
突然思い出した「お父さんが泣いた」というママの言葉。
わしは急に悲しくなった。過去を悔やんだ。
そして「レフェリーやって！」という声の方に歩きながら、
わしは不覚にも涙し、
子供たちがにじんで見えた。